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析し、状況を把握して、最善の対応策を探るのが、このMINDの役割なのです。
小さな例を一つあげておきましょう。
たとえば、子供がとんでもないことをした。親や教師として、これにカッとして怒鳴ったり、手を出して叩いたり、というのは人情かもしれませんが、けっして知的・理性的な態度ではありません。“愛のムチ”だ、などと言い訳しても、結局は、理性(つまりマインド)が感情に負け、一時的にコントロールを失っただけの話です。
そんな叱られかたをした子供は、感情的・肉体的に痛みに対しては反応するでしょうが、理性的・分析的に何がまちがっていたか、その経験から学びとり、知的に判断力を養うことはありません。それでは、パブロフの犬と同じで、条件反射的に同じ誤ちを繰り返さないようになるのがせいぜいでしょう。
むしろ、カッとする気持ちを抑え、なぜその子がそんなことをしてしまったのか、なぜそれがいけないことなのか、子供と一緒に冷静に考え、解決方法を探るとき、二人は相互に理性的存在として認めあい、知的な関わりかたをしている、といえます。子供にしても、こうすれば自分の行動を反省的にとらえる方法を身につけ、それを幾多の状況で応用することができるでしょう。それがMINDの働きであり、役割です(私事になりますが、私のアメリカ人の連れあいが、娘と「対話的関係」に入ったのは、生後2ヵ月目からでした)。
MINDの意味が日本語でまぎらわしいのは、翻訳の問題ではなく、日本文化のものの考えかた自体にあるようです。
日本では、“クールな理性”と“ホットな感情”とが、とかく混同され、しかも前者の分が悪いのです。たとえば、なにかトラ

 

 

 

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